消費者取消し権(消費者契約法)(携帯版)



▼消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し(第4条)
・詐欺(民96条)の緩和形態
「重要事項について事実と異なることを告げること」や「将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること」によって契約申込み(承諾)をした場合。

事業者から利益(良いこと)となることばかりを説明され、重要事項について不利益となることを故意に告げられなかった場合(※消費者がその説明は要らないと言えば別。)に、その不利益がないと誤認して申込み(承諾)をした場合。

上記のような詐欺まがいの場合に、消費者はその意思表示を取り消すことができる。

民法第96条の詐欺取消しは、事業者の故意を消費者側で立証する必要がありためハードルが高い。そのハードルを低くして消費者の取消権行使を易しくした趣旨。

・強迫(民96条)の緩和形態
事業者が消費者の住居や業務場所に来たが、「帰ってくれ」と言ったにも関わらず帰らない。

消費者が事業者の事務所などに行ったが、「帰るぞ」と言ったにも関わらず帰してくれない。

上記のような強迫まがいの場合に、消費者が困惑して契約申込み(承諾)をした場合には、その意思表示を取り消すことができる。

この規定も民法第96条の強迫取消し規定を緩和して、取消権を行使しやすくしたもの。要らない場合、「帰ってくれ」「帰る」とハッキリと意思表示をするのは大事なのだ。

・重要事項とは
「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容、対価その他の取引条件」について、消費者が契約を申込むか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもののこと。

・第三者規定
「消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。」
民法第96条の詐欺取消しの場合と同趣旨。民法第96条の強迫取消しの場合は善意の第三者に対抗できるが、この強迫規定の緩和形態による取消しの場合は善意の第三者に対抗できないこととなる。

善意とは:故意がないこと。知らないこと。善良な意思という意味ではない。


▼取消権の行使期間等(第7条)
・要するに時効のこと
「追認することができる時から6か月経過」「契約締結の時から5年経過」のいずれか早い方で時効となる。
ただし、この第4条に基づく取消権が時効となるだけであり、民法96条の詐欺・強迫取消権までもが使えなくなるものではない。(ただし、ハードルは高くなるが・・・)


▼クーリングオフ?
・クーリングオフとは別物
よく耳にするクーリングオフであるが、クーリングオフと消費者契約法第4条の取消権はまったくの別物。クーリングオフ規定の方が強いことが多く、使えるのならクーリングオフ規定を使った方が良い。


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